はっさいなんです

「ミツバチと私」を見た。

まぎれもない傑作。圧倒的な8歳だった!なんだこの映画は!!すごすぎる!!とにかく映画的ではない。説明的な描写が一切ない。ある家族が夏休みに田舎の家で暮らすことになる。母と子供たち。父は一緒には来ない。その理由は後でわかってくる。子供たちの中の一人が8歳の少年。主人公だ。しかしもうここでどう書いていいかわからなくなる。つまりこの映画は、この少年をめぐって、彼を少年と呼ぶのかどうか、ということを問う映画だからだ。いわゆるトランスジェンダーの映画と思うかもしれないが、ちょっと違う。その違和感は本人すら、どう自覚していいかわからないほど繊細な問題で、その繊細さ自体が作品になっている。そういう映画でしょと思って見ると、そういう映画なのだけど、いったんそのフィルターを外して見るとこの映画、ものすごくサスペンスフルでミステリアスで、世界が怖く感じるような映画にもなっている。これは世界への不信、存在の不確かさについての映画だ。静かな田舎町のほのぼのとした夏の思い出の映画のように見えて、実にドラマティックで、ものすごく心をえぐられる映画だった。どんな演技指導したらこんな8歳が撮れるのか。まぎれもない傑作だ。

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