おめさんはだれだ

「アンダーカレント」を見た。

過去とは何か?ということ考える映画だった。「ある男」にも通じるテーマ。人の過去とは何であるか、人は他人をわかることができるのか。人は過去でできている。しかし、その過去を他人は本当の意味で知る事はできない。誰かの知らない過去は、言葉によってしか伝えることができないからだ。その言葉が、嘘だったとしたら…。なかなかにして怖い映画である。突然、いなくなった夫を待つ女。誰に対しても優しくて、評判のよかった夫。しかしそれは本当の彼だったのだろうか。彼の行方を追う探偵を演じるリリーフランキーが素晴らしい。得体の知れない人間くささとうさんくささを、ただそこにいるだけで醸し出している。総じて、役者が素晴らしい。ほんの少ししか登場しない瑛太がやはり素晴らしい。人間らしさをすべてそぎとしたようなたたずまい。リリーフランキー演じる探偵と真逆の存在感。素晴らしい。長回しのドライブシーンのなんともつかない緊張感もいい。目を合わす対話、目を合わさない対話。対話でつむがれる映画。こういう映画は映画館で向き合わないとダメだ。冒頭、銭湯で読まれている雑誌「FIVE」が架空本ファンとしてはすごく気になった。という一応のメモも書いておく。いい映画だった。

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