はじめからまかい

マンティコア 怪物」を見た。

後味最悪ながらも細部が楽しい映画でした。一見すると内気な青年と献身的な女性のラブスーリーである。おかしなことはおきない。青年はゲームのグラフィックデザイナー。緻密なモンスターを創作する人。女性は病気の父を介護して自分のやりたいことを抑えて献身的に尽くす人。この2人が出会う。そして恋が始まる。そういう話ではある。だけどそこに常に何か変な予感がある。そしてそれは突如崩れ落ちる。外側だけ見ていると分からない内なる隠された欲望、自分の中の怪物の話である。そのことは誰にも話さない。見せない。はずなのに…。とにかく静かに事が進んだ終盤、とてつもない怖さがやってくる。どこまでいくの?そう思って見ていると、一枚の絵にやられる。怪物の正体は最初から見抜かれていたのかと…。何の話かわからないでしょう?でもそういう映画なんです。でもね、よく考えたら、最初から怖いんです。顔が。もう。ラストは絶望かと思いきや、意外にもある人の欲望をしっかり満たすある意味ハッピーエンドです。後味の悪い大好きなタイプの映画です。ちなみに青年のスマホの着信音は、魔界村ゲーム音楽です。最初からすでに魔界です。で、女性のトラウマになっているという「ビデオドローム」だと思って父のビデオを見たらポルノが入っていた、というのは、「サムライ・ドリーム」というタイトルのポルノだったんじゃないですか?で、あれば正解です。それビデオドロームです。あと伊藤潤二の新作マンガって何だったの?とか、とても細部のオタク要素が楽しい映画でした。

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