このためにみてる

「辰巳」を見た。

圧倒的な一作だった。映画に求めてる事ってこういうことなんだよ、こういう作品に出会うために映画見てるんだよって、そんな映画だった。ヤクザのはぐれものが、組織に狙われた少女を守るっていう、本当によくありそうなプロットながら、まったくありふれた映画なんかじゃ無い。エネルギーが充満してて、あらあらしい。とにかくこの主役二人が神々しいほど素晴らしい。遠藤雄弥、むちゃくちゃかっちょいい。そして、森田想。なんてすごいキャラクターなんだ。野生動物のようなむき出しの凶暴性。それが次第に心をひらいていく。人間っぽくなっていく。主役2人をずっと見ていたくなる。悪役ふくめ役者がみんないい。顔がいい。どこをとっても、どこかで見た中途半端さがない。低予算ながら、絵の一つ一つからそれが伝わってくる。オープニングクレジットからかっこいい。もうそこで痺れる。車で荒野を行くシーンもすばらしい。飲み屋街の迷宮感もいい。映画として絵が安くない。そして何より主演2人が、もう。第一印象と見終わった後で、印象ががらりと変わっている。見えてる世界そのものが変わる。それを体感する。「ケンとカズ」の小路紘史監督、8年ぶりの新作。すごかった。

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