だんちがあふれた

「すべての夜を思いだす」を見た。

暫定、今年ベスト「団地映画」だった。いや、これ、大好き。団地の良さが詰まっている。気がつくと明日には記憶からその存在が消えているかもしれない、何でもない1日の映画。3人の世代が違う女性の群像劇。お互いのつながりはない。ただ団地ですれ違うだけの3人。そこにドラマらしいドラマはない。しかしこれがめちゃくちゃ面白かった。渋谷のユーロスペースでしかやってなくて、予定が詰まってて見るの無理!って思ったんだけど、「団地」が舞台の映画と聞いたら、見ないわけには行かなくて、無理矢理に会議の予定を組み直して見に行った。そのかいありまくり。今年最高の団地映画でしたよ。時間と喪失の映画ですねこれは。気がつくとなくなっていくもの、忘れちゃうこと、なくなっていきそうなものばかりが映画の中に描かれる。それは着付けの仕事であったり、写真屋であったり、認知症による記憶の喪失だったり、かつて生きていた大切な人だったり、そして団地はそうやって消えていくものの象徴のようにそこにある。かつてあった賑わい。商店があってスーパーがあって飲み屋があって、世界のすべてがあった場所が、いまは店もシャッターを下ろし、人気も少ない。そこに今も存在する何でもないけど実はとても尊い時間。見ながら、自分が団地の中を散歩しているような感覚になった。なんかとても素敵なものを見せてもらった。大好きですこの映画!あ、ガスメーターの検査員をやってる女性(主人公の1人)の認知症の人対応が完璧でした!あのシーン好き。あと、誕生日を祝うビデオも良かったなー。ただ歩いてるだけのシーンもいいんだよなー。いやー結局この映画の全部が好き。

www.youtube.com