いがいなおあしす

「四月になれば彼女は」を見た。

意外なオアシスを見つける映画だった。とにかくきれいな映画だった。とにかく画がきれい。街の切り取り方がきれい。で、どこか無機質、つまりちょっとおしゃれだ。いくつかの国を回って写真を撮るシーン。ウユニ湖とかアイスランドの朝焼けとか、とてもゴージャス。お金をかけているなーと思った。画はきれい。で、話はけっこう重くて深刻だ。シリアスな恋愛映画を久しぶりに見た。最後までハッピーな気持ちになるというよりは、どんよりする映画だった。人が怖くなる。きれいな画面の中で、人の心が怖い。そんな映画だった。見た後に書き殴ったメモを見返したら「人が怖い」ということだけがたくさん書いてあった。怖いというか、とてもイヤな人ばかりが出てくる。1シーンだけ出てくる人の印象がけっこう悪い。長澤まさみ演じる今カノ。その妹が1シーンだけ出てくる。パチンコ屋で働いている。姉の悪口だけを言う感じのワルい人として出てくる。登場はそれだけ。森七菜演じる元カノ。彼の父親、演じているのは竹野内豊。一見感じの良さそうなその父親が一瞬で狂気の存在に変わる。とても怖い。もちろんその演技は素晴らしい。だけど父親はこのシーンしか登場しない。その後の父親と娘の関係はどうなったのか。クライマックスの展開もちょっと怖い。元カノと今カノが実は…って、その展開自体も謎だらけなんだけど、そこで交わされる会話が怖い。「知ってましたよ」ってセリフでぞわっときた。ホラーか!「愛を終わらせない方法」についての映画だ。繰り返しその問いが投げかけられる。考えてみるとこの映画、愛が終わった人ばかりが出てくる。ただ…もちろん救いもある。この映画の中でとにかく「いい人」として出てくるのが中島歩だ。いつもポンコツイケメンで、どこかダメな人をやる彼が、根っからのものすごくいい人として登場する。嘘の待ち合わせ時間を教えて抜け駆けしようとするような友達に、寄り添って夜中にドライバーまでかってで付き合って、最後は何も言わずに引き上げる。なんてスマートな、超いい人なんだ!意外な人物が、まさにこの映画のオアシスでした!!

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