いやだけどすきな

「夜を越える旅」を見た。

いい意味で、すごくイヤな映画だった。まず始まり方がですよ、素人映画みたいな整音でちょっと安っぽく始まるわけですよ、で、大学の元ゼミ仲間達が久々に集まって旅行に行って、わちゃわちゃするのね。すごくユルい青春映画みたいに思うわけじゃないですか。一応、悪夢的な展開になるっていうのは知ってましたけど、このノリでいくなら、精神的にイヤな過去を掘り起こされて、追い詰められていくくらいの映画なんだろうなって、そのくらいに思うわけですよ。何せ超低予算の学生映画ノリだから。でもね、過去の回想シーンでかつて想いをよせていた女性が登場したあたりから、あれ?ってなるわけです。なんか、その人が出てくるだけでぞっとする感じがあるんですよ。たぶん、まばたきしてないんですよ。だから目が異様に怖いの。うわ、こわ!って思ったんだけど、遅れてその娘が旅行に参加してきて、なんだか仲むつまじくて、楽しそうで、気のせいだったかって思ってると…。そこからは悪夢のようでした。いや、これ、視覚的にも本気で怖いし、心理的にも追い詰められていく。ぎゃーって驚かすような怖がらせかたじゃなくて、ふいに突然、え?って感じで怖いのが襲ってくる感じでした。安心してると突然くるからイヤです。突然前フリもなく吸い込まれて見せられる悪夢とか、普通に会話してたらその会話の最後の瞬間にぎょっとするような一言が出てきたり、ほんとイヤ。終わってみたら、そうかこの作品自体が…っていうイヤな余韻を残しているのもイヤですね。けっこうスキなイヤな映画でした。

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