つみあがっていく

「正欲」を見た。

小さなピースが積み上がっていくような映画だった。じつによくできた構成だ。原作は未読。予告も事前の知識も何もない、まっさらな状態で映画を見た。ときどきこういう状態で映画を見ることで最高の幸せを味わえる。そしてこの状態で見ることが正解と思える映画だった。バラバラに配されたピースが少しずつ積み上がっていく。パズルが完成していくような感覚で映画を見ることができる。少しずつテーマが見えてくる。なるほど「そのこと」についての話なのかというところが見えてくる。すると「あの人も?」というところから、いろいろな推察が生まれる。そして全体像が浮かび上がってきたところで、この映画自体がひとつのメタファーとして存在してるのではないか?と思えてきて、すると予想していたような大きな事態が起きる。じつに見事な映画だ。考えさせた上で、しっかりその先をついてくる。これは脚色がうまいのか、とにかく原作を読んでみたくなった。描いているもの自体は大きく違うのだけど、人にとって最も大切な存在は何か?というテーマは前日に見た「つんドル」映画に通じるものを感じた。

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