ひつようなこと。

「対峙」を見た。

2時間4人の人物が対話するだけの映画。はじめはこの人たちが何者なのかもわからない。誰がどんな立場の人なのか、次第に浮かび上がっていく。通常ではありえない決してわかりえないだろう銃乱射事件の被害者家族と加害者家族の対話。憎しみと怒りと後悔と懺悔とそれらが入り交じりながら、埋められない溝を埋めていくように対話が重ねられていく。その先に何が待っているか…。対話がいかに大事かということをこの映画は語っている。それは事件資料や、供述、あらゆるところに記されたもの以外のところに重要なことが存在しているからだ。対話によって表出するもの、それは小さなディテールだ。対話を重ねることで、その人が確かにそこにいたというディテールが浮かび上がる。たまたま今日読んだ本「やっかいな問題はみんなで解く」という社会問題を解決するための考え方についての本に、書いてあったこと。やっかいな問題を解決するために必要なのは、一見遠回りにも見える対話を根気よく重ねていく「ままならない時間」に向き合う胆力が必要とあった。この映画が描いていることはまさにこのことだと思った。いま世界に必要なことの全てをミニマムな世界の中にぎゅっと押し込めたような映画だった。終盤20分くらい涙が止まらなかった。これはいまこの時代に見るべき映画だ。

www.youtube.com