はなしあいのさき

「ウーマントーキング 私たちの選択」を見た。

会議映画。2時間の話し合い。すごい映画だった。男たちに支配されているあるコミュニティの女性たちが、男性が不在の2日にうちに自分たちの未来を話し合うという映画。何もしない、戦う、出て行く、3択の投票をする。教育する権利も奪われ、文字を知らない女性たちが、自分たちの方法で結論を導き出していく。どうすることが最善なのか、何を選択するとどんなメリットがあり、どんなデメリットがあるのか。どんなくだらないことでも意見を出すこと、しっかり聞くこと、言葉の意味を考えること、否定しないこと、話し合うことにおける大事なことが、すべてここに描かれている。そして言葉にすることで気づきを得ていく。赦すとは、許可するということではないこと、相手の意見を拒絶することで人は傷つく、しかしもうこれ以上自分たちは傷ついてはいけないということ。そうやって言葉を重ねた先に導き出す結論とは…。この映画、直接的な暴力を描いていない。ここがどこで、いつの話で、どんな暮らしをしているのかも、状況説明も極力排している。ただ途中で爆音を鳴らしながら登場するあるものが、この物語が現在と地続きであることを教えてくれる。寓話のように描かれているが、これは現実にあった話であり、現代の物語であることを知らせる。寓話的にすることで、怒りを封印している。そんな気がした。怒りから行動するとそれは戦争を生む。憎しみの連鎖を断ち切るための映画。すごいものを見た。

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