とめられなかった

「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」を見た。

ひたすら涙が止まらない、全オレが泣く映画だった。あの頃の自分がいた。大学時代の情けない自分を思い出してボロボロと涙が止まらなかった。映画少年が映画に憧れて助監督として現場に入る。突然放り込まれる撮影現場。そこでいきなりプロの現場を味わって、怒鳴られ、存在否定され、落ち込む。何もできない自分に呆然となる。これに似た体験を大学の時に経験した。あの頃の自分を思い出す映画だった。青春の中のいろんな自分をそこに重ねてみた。主人公の名前は井上くん、わたしと同じ苗字。不甲斐ない何もできない、それでいて頭でっかちで、理屈だけで生きている感じ。現場で怒鳴られる。使えないやつだと言われ逃げ出す。わたしもこれに近かった。映画の主人公と違うのは、映画は無理だと思ってそのままフェードアウトしたことだ。ここではダメだ。ではどこにいく?何も思い描けなくて、悶々として過ごした。悩むことすらできなくて、ただ不安だけがあって、眠れなくて、朝、新聞配達のバイクの音が聞こえて、ああもう4時かと思いながら、ただゲームをしていた大学4年の頃。あの時のあの感覚が蘇ってくる。でも、あの厳しさがよかったんだと思う。少なくとも自分にはよかった。きちんと諦めさせてもらった、投げ出させてもらえた。いいんだよ、がんばんなよ、無理すんなよ、そんな感じじゃなかったから次に行けたんだろうな。あの頃のふがいないあの時間、無駄じゃなかったよな。もう、この次は逃げるのはやめよう。そう自分に言い聞かせるために必要なことだったんだろうなと思う。そんな自分との対話が始まる映画だった。映画の井上少年は、そのまま映画の道に進み、40年経って、その頃をこうして映画にしている。エンドクレジットの脇に流れる映像にぐっときて、また泣き出してしまった。素晴らしい青春映画だった。

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