のみかいまでの…

サン・セバスチャンへ、ようこそ」を見た。

まるで映画じゃないか!って映画だった。中年の冴えない男が妻と一緒に訪れた海辺の美しい街。映画祭でお祭り騒ぎにわく、特別な時間。妻は才能溢れる若い映画監督に夢中で、冴えない夫は時間を持て余す。そこで映画みたいなロマンスが始まる。突然始まった恋に、たくさんの映画が引用される。男が妄想するのは、自分が愛するクラシックな映画の世界。「市民ケーン」「男と女」「突然炎のごとく」「勝手にしやがれ」古い映画の中に逃げ込みながら、ここではないどこかに思いを馳せる。そしてお祭り騒ぎの中に、これこそ探していたものだと、光を見つける。しかし、それはしょせん、祭りの中のできごと。日常ではない。映画と同じだ。目を開けると不合理な現実が待っている。そこを見ようとしない。現実を生きれない中年男の青春映画である。始まった瞬間から、あ、ウディ・アレンの映画だ!って思って、そのまま最後まで心地良く情けなさを漂う、こっけいで映画愛にあふれまくったコメディ。飲み会までの時間つぶしに見るのに最適な映画だった。人生は寄り道の連続である。

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