やみがふかすぎる

「ほかげ」を見た。

ゴジラなきゴジラ-1.0だった。なわけあるかーい!なんだけど、そう見てしまった。マイゴジのゴジラは戦後日本を襲う恐怖や闇のメタファーだったように思うのだけど、それが姿を表さず予感としてそこにあるような、もっとおぞましいものが常にそこにあるような、そんな映画だった。敗戦後の町で始まるつながりのない男女と子供3人の疑似家族もの。体を売って生きる女、死ぬことができなかった優しく良識のある青年、そして銃を持った子供。彼らの人生を奪い狂わせた戦争の存在。逃れられない闇。そこに現れるもう一人の男。彼は、自分の運命を狂わせた元凶とも言える相手と対峙するために少年と旅に出る。前半は息が詰まるような密室劇、中盤からは死に場所を求めて彷徨うロードムービーと映画の雰囲気が変わる。そして常にヒリヒリするような死の予感がそこにある。半端な気持ちで見に行くと踏み潰されるほど強烈な映画だけど、終盤にはしっかり希望もあって、先日見たゲゲゲのアニメと同じく、戦後日本に真っ向から向き合ったこれまた傑作でした。

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