ただしいせんたく

「どうすればよかったか?」を見た。

問いを突きつけてくる映画だった。つまりはこのタイトルである。この問いかけに果たして答えることができるのか…。圧倒的な「時間」を見せる映画である。ある家族の映画。統合失調症になった姉とその事実を受け入れない両親のいる家庭。弟は逃げ出すように家から離れて暮らし、10年以上経って家族をカメラに記録し始める。それが2001年。そこから20年以上、カメラは家族を写し続ける。途方もない時間がそこに刻まれる。この「時間」がこの映画の本質だ。はたからみれば明らかに間違えた選択をしている両親。そして20年以上閉じ込められた娘。どうすればよかったのか?正しい選択というものはあるのかもしれないが、その正しさを果たして人は選ぶことができるのか?「なんとかしたい」という思いと「どうにもできない」現実とを行き来しながら対話を重ね、ただ記録し、時間とともに変化していく家族の様子を弟はただ記録していく。過ぎていく時間の重さがそこにある。明らかにおかしくなっていく姉、そして老いてく両親。年が過ぎるごとに、残酷なまでの変化が刻まれる。ぎりぎり保たれていたものが、崩れた先に、え!?というほどにあっけなく事態は急転するのだけど、映画はその先も続く家族の姿を写していく。そこで見せる姉の姿に、思わず涙がこぼれる。こんなことなら…もっと早く、そんな気持ちが募る。どうすればよかったか?じつはわかっていたのかもしれない。でも人はその正解をいつでも選べるのか…。やはりこれは自分事としても思う。間違えずに生きることができるか。正しさをいつも選べるか。ぐるぐると答えが回る。外側からみたら立派な家に住んでいる家族である。しかも肩書きだけ見ればエリート一家だ。しかし家の中という壁を一枚挟んだその世界はいびつそのものだ。外からそれはわからない。家族というものについて考えさせられる映画だった。正直、まだ咀嚼し切れてない。そのくらい重い映画だった。けどみて良かった。

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