これがしめでした

「グランメゾン・パリ」を見た。

正直、あまり見る気はなかったんですが、年の瀬、2024年の最後の一本にこれ見てきました。これしか時間が合わなかったんです。結論から言います。見て良かったです。最後、ちょっぴり泣いちゃいました。いやほんと、意外にぐっとくる映画で、そこは間違いないんですが、残念さがないかと言えば、むしろ残念な映画であることも事実で、正直な所、自分でもそれをどう消化していいかよくわからんのですよね。とにかく終盤まではひどいです。50歳過ぎて金髪に髪を染めたキムタク主人公が、ごっついいやなヤツ過ぎて、しかもミシュランの三ツ星を獲得するために誰の目から見ても間違えた方針を掲げて、独りよがりでそれに盲信していく、で、トラブルがいろいろ起きる、料理に関係のない韓国系パティシエの借金問題に暴力沙汰に放火にどうでもいいトラブルが続発して、それに積極的にイキがって暴力に加担する主人公の浅はかさとか、もう見ていてイライラしてくるんですよ。こういう誰の目から見てもドラマのための無駄なトラブル作りが本当にノイズで、こりゃダメだってなってたんですが、それを最後に一気に逆転させます。とにかく、ラストのフルコース。そこだけを見るための映画です。このコースが素晴らしい。語り手が料理評論家で、食べ終わった後の時点から振り返るように回想していく構成もいい。料理の力、クリエイトする心が人の魂を動かす。それがあふれ出すようなクライマックスで、本当にここだけ切り取って見てもいいくらいよかったと思う。ただ、消化できないと思うのは、じつはこの不出来な前半戦があったから、ここが引き立った可能性もゼロではないということだ。沈みきった心を一気に上昇させたからよく見えた可能性もある。だからその意味では、あの無駄でどうしようもないドラマも前菜として効果があったのかもしれない。例えば全編をもっとドキュメンタリックにして、プロの料理にかける工夫と努力だけの話にしたらきっといい映画になったろうなと思うんだけど、果たしてよくできた映画だったら、あのラストにここまで感動できたか…。できたかもな…。うん、そのくらいいい料理エンタメでした!意外に1年のシメ映画にちょうどよかった気がします。本当に見て良かった!

www.youtube.com