まるでじぇんがだ

「ヨーロッパ新世紀」を見た。

静かにつみあげていく映画だった。ルーマニアの映画。トランシルバニア、ドラキュラの地。森に覆われた田舎の村。狭い社会での人々の決めつけによる壁。外から来た人間を阻害する。何を考えているのか分からない。どんな病気を持ってるかわからない。同じ人間として彼らを見ない。そうやってそこでコツコツといやーな空気を積み上げる。これは世界中で今起きている問題でこの村はその縮図だ。少しずつ少しずついやな感情を積み上げていく。そしてそんな声が集会で爆発する。固定カメラ長回しによる最悪の議論。理屈や倫理ではなく感情に支配され理解も何もなくなっていく。恐ろしい映画だ。ただこの映画がすごいのは、ラストのとんでもない飛躍である。積み上げてきた縮図を一段上から俯瞰させるような、もっと圧倒的な世界の存在を見せる。ゆっくり積み上げて一気に破壊する。ジェンガのような映画だった。すごいものを見た。

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