そういうことだよ

ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家」を見た。

ゴダール、高校時代好きだった。いや、ゴダールを好きだと言ってる自分が好きだった。じつはちっともわかってなかった。ただ背伸びしてわからないものを好きだと言うことがかっこいいことだと思っていた。そのことを恥ずかしいことだとは思わない。そうして背伸びしたことで近づいた世界があったはずだ。それから6年くらい経って、社会人になって編集者をしていた頃、作っていた雑誌の中でヌーベルバーグのページの担当を任されたので、一気にゴダール作品を見直した。なるほど、そういうことか、と少し分かった。映画そのものが何かが分かったのではなくて、映画の背景、時代の空気を学んだことで、見えてくるものがあった。映画は作品だけ見てもわからないことがたくさんある。そのことを知ったのがゴダールの映画だったということを思い出した。撮影中のオフショットや、異様な撮影手法、監督になる前、父親の金を盗んで映画に出資して自らも出演した映画のフィルム、ゴダールという人の存在そのものがまるで作品だ。作品が認められると、認められないような作品をわざと撮る、人に好かれると嫌われるようなことをする、常に発明し続け、反逆し続ける。この人が選んだ最期の選択まで含めて作品だ。その一端を見せてくれる映画。刺激に溢れていた。

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