はらじゅくでした

実に写真的だなと思った。イラスト展の案内をもらったので、ずいぶん行ってなかった原宿のギャラリーに行ってきた。松木直紀個展 「スクランブル」。ギャラリーに入った瞬間に思ったのは、写真的だなということだった。全て渋谷の風景を描いたイラスト。街の切り抜きかたが、とてもスナップっぽい。そして渋谷のどこかというのが見てすぐにわかるくらい忠実にその場所が描かれている。何気ない街角や駐車場やただ地面を描いただけのイラストでも、それがどこの場所なのか写真以上によくわかる。おそらくそれは描かず省略している部分があるからなのだろう。特徴がより際立つ。ぼかされた看板群の中にスペイン坂の昔よく行っていたスペイン料理の「びいどろ」の看板を見つける。それはぼかされずに描かれている。それを見るだけで少し嬉しくなる。画の中に思い出の場所が描かれるとなんでこんなに嬉しくなるのだろう。絵の奥にいる重心を横にずらしてたたずむ少女が妙に実在感があり、そういった人の様子がやはりスナップ的なものを感じさせる。そして道ゆく人たちがもれなくマスクをしている。ここに描かれているのは2年前の渋谷の風景だという。一種のドキュメンタリックさをまとっている。やはりきわめて写真的である。そういえば何年もこの風景の中を歩いていない。久しぶりに渋谷を歩いてみたくなった。

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