しんしゅうかんす

写真展を見た。「北島敬三UNTITLED RECORDS :REVISITED」

人っこ一人写っていない寂れた風景の大判の写真。それはかつて何かであっただろう場所であったり、見過ごされ、忘れらそうな風景だ。震災後の被災した建物だったり、多くは東北だが、時に沖縄だったり東京だったり、日本各地の忘れられそうな場所が混在している。そしてやはり人は一人も写っていない。湖の中に建物が埋まったような写真がある。なんのための建築物なのかはわからない。ただ鉄骨を組み上げたような物体が湖に埋まっている。かろうじて姿の見える建物と呼べるのかわからない小屋のような部分に向けて電線が一本伸びている。つまりそこに電気が通っている。そのなんだかわからない建物は何か機能を果たしているのだろう。雪山の広がる雪原にポツンと一軒小さな小屋が建っている。建っているというよりポツンと置かれている。人が住んでいるのかはわからない。しかしそこに向かってやはり電線が一本伸びている。そこに電気は来ている。それがなんであるのかわからない建物にどうしても意味を探してしまう。「週刊現代」という巨大な立て看板を前にした今は廃業していると思われる店はかつてなんの店だったのか痕跡を探してしまう。窓に貼られた「ソフトオンデマンド」の文字、そしてアダルトグッズを売っていたような痕跡がかすかに残るその店の入り口に、BOOKSという文字がある。かつては町の書店だった場所が、アダルト店になっていき、やがて廃業したのだろうか。微かな痕跡がその場所の歴史を物語る。何物かわからない建物たちにも何か役割があったはずで、それは今も機能しているのかもしれない。ただ寂れただけに見える景色が何かを語りかけてくる。そんな展示だった。

写真展の感想を書くってことを新しくはじめて「毎月やる!」って決めたんだけど、けっこう大変なことなので、決意の意味も込めてめずらしく「やる」宣言しておきました。また面倒なこと始めちゃったな〜。

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