のうがばぐるぐる

翔んで埼玉が公開中なので、どっちを見るか悩んで、さいたま国際芸術祭2023の方を見てきた。つまり埼玉まで翔んでいった。東海道線のグリーン席なら遠く果てしなく感じる埼玉までの道のりも体感1時間だ。実際には1時間ちょっとかかるはずだけど。さて、そんな「さいたま国際芸術祭2023」だけど、はっきり言ってこれはすごい。完全に脳がバグる。そうなるように導線が仕組まれている。詳細は書かないけど、ひと言で言うと「なんだこれは?」だ。ほぼノー知識で行ったので、最初は何が何だかわからない。何が展示なのかもわからない。入れない扉がドンとあって、そっちに何があるの?あれ、行けないの?迷子になりながら、行けるところを探して歩いて行くと、何かアートらしきものが置いてある。こういうオブジェの展示なの?え!?これだけ?これのどこが、国際で芸術で祭なの?そう思いながら、歩いて行くうちに、なんだかわからないことが起きていく、わからないままに、わからなさが増えていく、そのうち、え?なにそれ気持ち悪い…誰?え!?客?どっち?何この映画?何この芝居?完全に異世界に放り込まれる。極めつけは展示会場の外に出た後だ。隣の建物の会議室…様子がおかしく見えてくる。これは展示の一部?それとも現実なの?その横にあるカフェのテラス席で年配の男性が二人会話をしている。昭和な時代の生き様についての武勇伝のような会話。でも何かシナリオがあるような…この2人も展示の一部?現実と虚構の境界がわからなくなる。会場を離れて電車に乗るまで、すべてがおかしく見える。こんな体験したことがない。いや、待て、これに似た体験を最近した。あれは徳島だ。NFT鳴門美術館。徳島に最新のNFTの美術館。興味がわいた。調べるとものすごくへんぴな場所にある。車で人気のない森の中を走る。15分ほど車を走らせたどりつく丘の上にひっそりとたたずむ美術館。行ってみると客は誰もいない。受付に近所のパートの人なのか中年の女性がいる。「どうぞご覧になって」と通されたその美術館は…。ここも脳がバグるところだった。NFTとうたいながら通される謎の和室。古い畳の匂いがするリアルな民家にあるようなふつうの和室に、見えるのはただの倉庫?とも思えるただの物置で、そこから出たところにある庭に置かれたのは、小学生が工作の時間に作ったような石で作った謎の人形。人型の人形に20000円、ただの石に目がついたものが4000円と値札が貼ってある。気がつくとさきほどの受付の人が後ろにいて「この辺は野良猫とタヌキがたくさんいて、猫がタヌキをいじめるのよ」なんて話をはじめる。「ほらあの猫、あれは去年まで飼い猫だったのよ、でもいまはここいらの猫もタヌキもみんないじめてまわるのよ」なんていう。見ると確かに野良猫とタヌキがたくさんいる。展示室の2階には古びた人形や、どこかの家から持ってきたような古い家具やカビた本が入った本棚がおかれている。その横にはデジタルで描かれたあまりデキのよくない宝石がくるくると回っている。何がなんなのか、まったくわからなかった。タヌキに化かされたのかと思った。でも、今回「さいたま国際芸術祭2023」を見て確信した。あれは美術館そのものがアートだったのだ。すべてが壮大な仕掛けだったといまさら気がついて改めて驚いている。「さいたま国際芸術祭2023」とにかくすごくオススメだ。常識がひっくり返る。それと同じくらい推したいのが「NFT鳴門美術館」だ。徳島まで行くのは大変だけど、驚くような体験だった。もしかしたら違うのかもしれないけど…。

artsaitama.jp

nftjp.org