しゃしんなひです

六本木でちょっと気になっていた奥山由之の写真展「windows」を見てきた。東京の家の窓を撮った写真。外から室内をガラス越しに撮った写真が並ぶ。つまり家の中を盗み見ている。しかしガラスが透明ではないため中のものは不鮮明でもやがかかっている。エフェクトがかかって油絵の絵画のようにも見える。不鮮明な家の中。家というものの持つ不透明性そのもののようでもある。外からは見えない家の中という得たいのしれない空間。この写真が撮られたのがコロナ禍であることもとても意味深だ。みんなが移動の自由をうばわれて家に閉じこもった。それを盗み見る。かすかにわかる家の中のものは、決して見られるためにそこに存在してしない。そこに映っている生活の断片は、家の中にいる人のために置かれており、外にいる誰かに見られるために置かれてない。だから窓の外には背を向けている。無造作にゆがんだ家の背中のような抽象的な世界の切り取り方が面白い。効果的なのは写真集より展示だ。飾られた額の中の写真がまるで窓そのものだ。写真の前にガラスが1枚はさまれていることがまた実物感をあげている。個人的にはとても好きな写真だった。見終わってゴールデン街に行き、写真のえらい人と、最近結婚した有名写真家と、超人気カメラマンと、深夜まで大量の酒を飲んだ。めずらしくずっと写真の話をした。半分はアニメの話だった気もする。深夜のタクシー代がいつもより高かった。

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