ふんをうってやる

「せかいのおきく」を見た。

モノクロ時代劇。江戸末期東京の片隅。小さな恋の物語。なるほどこれはモノクロでないとダメな映画だ。ひとつは世界観のため。これは喪失の物語だ。何かを失い何かが欠けた世界。色のない世界はまさにそれだ。もうひとつの理由。写ってるものがモノクロでないとかなり厳しい。何かというとうんこだ。これはうんこについての映画だ。映画の大半がうんこだ。なのでカラーだとかな厳しい。それにしても江戸のうんこ事情、全く知らなかった。糞尿は商品だったんですね。くみ取りにきた人は、お金を払ってそれを引き取り、農家にお金をもらってそれを肥料としてまく。すごいエコなシステム。ただその職業をする人はさげすまされる。その人たちがいないとトイレは溢れて大変なことになるのに、「糞を売ってやってる」という態度で、値段をつり上げてきたりもする。そして足蹴にされる。なんて不条理な。それにしても人というのは身分関係なく上から入れて下から出す、それだけの存在だな。うんこと恋と喪失と再生。とてもいい映画でした。

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