「aftersun／アフターサン」を見た。
すごい映画だった。娘が父と共に過ごした夏の日のビデオテープを見て過去を振り返る。ただそれだけの映画なんだけど、なんだろう、このどうしようもなく切なくなるこの感じは。物語はほぼない。ただ夏の日の記憶の断片を拾い集めるような映画だった。見ている間じゃなくて、見終わって時間が経ってから、まるで古傷が痛むように、ずしんときている。切なさが、喪失感が、時間を空けて高まっている。いま、予告編を見ながら、泣きそうになった。11歳の娘と父との束の間のバケーション。大人になる前の子供の目で見た世界。性と別れの予感にあふれた白昼夢のような時間。思春期になる前のなんともつかないあの頃の自分の記憶に触れてくるような映画だった。小学生の頃、夏休みに叔父に連れて行ってもらった海水浴。一緒にいった女子大生のグループ。あの何とも言えない夏の日の甘酸っぱさを思い出す。父と行った伊豆旅行…。今はもう2人ともいない。なんだろう、ほんと、切なくなる、そういう映画だった。
