いえからはでない

「ザ・ホエール」を見た。

前知識はほとんどなく見たのだけど、とても救いのない映画なのかと思ったら、とても優しく、清らかで、前向きな、希望のある映画だった。ただ映像として映画に描かれているものはおぞましく、残酷で、不純で、後ろ向きで、絶望的で、全て真逆にも思えるものだという、なんともよくできた映画だった。まるで映画そのものが逆転の円環構造のようなもので、最初に示されたことはすべて最後にその意味を反転させてくる。終盤はボロボロと泣いてしまった。元は演劇だということでファーストシーン以降、カメラは家の外に出ない。画面の幅はとても狭く、すごく閉塞的な空間の中で語られる。主演のブレンダン・フレイザーアカデミー賞受賞はものすごく納得。これは彼のための映画だ。良い映画だった。

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