にちじょうでした

「ドンバス」を見た。

なんだこれは…完全に秩序を失った世界を淡々と捉えたドキュメンタリー映画のような作りの劇映画。まるで先日見た「ニューオーダー」みたい。ただ怖いのはこの映画は劇映画ではあるけど、描かれていることはドンバスでいま実際に起きている現実であるということだ。国がねつ造するフェイクニュース汚職と無法がはびこる軍に公共機関。戦争が日常化した地における常識や良識の無力さ。本当に絶望的な状況が、淡々と時にコミカルに展開されていく。それぞれのエピソードは独立しているようで、どこかでゆるくつながっている。結婚式で大はしゃぎしていた兵士達がその直後に無差別に人を殺しやがて自分たちが襲われたり、ほとんど何の説明もなく、ただ世界の片隅で起きていることを淡々と観察してるかのように撮っている。最後に起きるとんでもない事態もやはりカメラはただ淡々と引きの絵で見せて終わる。起きていることはとんでもないことなのに、まるで何でもない日常のようにただ淡々と記録して終わる。とても怖い映画だった。

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