まるでじごくだな

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「茜色に焼かれる」を見た。

地獄のような映画だった。冒頭の交通事故での夫の死にはじまり、その交通事故そのものよりも更に最悪な現実が7年後に待っていた女性の話。とにかく出てくる奴ら一人ずつ全員オノで頭をたたき割りたくなるくらいムカついて、主人公はその状況を耐えるというかうけ流しながら、その現実をただ生きるしか無くて、さまざま理由で貧しくて、時給や家賃や生活にかかるお金が随所で画面に表示されて貧しい現実を突きつけてきて、コロナ禍で、小じんまりと経営していたカフェはコロナで潰れて、ホームセンターのバイトと風俗店で働いていて、夫の義父の介護代と夫の不倫相手の子供の養育費を払っていて、自分の息子は学校でいじめにあっていそうで、担任はクソみたいなヤツで、もう、不条理とかそんな言葉で片づけられないほど暴力的にしょうもなく苦しくて、この世は地獄か、そんな日常をどう生きるかって映画。とにかくいいことなんか一個も起きないまんま進んでいくんだけど、それでも不思議なことにこの映画、暗くはならない。なんなら明るくてクスっとしてしまうところもある。友達もできる。息子は超がつくほどできがいい。ときどき青春映画のような不思議な浮遊感もあって、そんな一瞬に平穏を感じたりもする。ただ簡単に「気持ちいい」展開には転がっていかない。これは何か?「今の世の中」そのものだ。だからただ生きるしかない。夢見てても文句言っててもはじまらない。「ま、がんばりましょ」そう言うしかない。

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