「アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン」を見た。
歌がただの歌でなくなる瞬間を見るような映画だった。アレサフランクリンが1972年に教会でゴスペルをレコーディングをしたドキュメンタリー。とにかく驚くのが、観客たちが、そしてコーラスしている歌い手たちも熱にのまれていく姿だ。手をかざし、神を崇める。涙して熱狂する。まるで祈りとしての歌が、それ以上のものに変化していくようだった。劇中アレサ・フランクリンはひと言もしゃべらない。リハーサルのシーンで音の調整の指示を出すシーンが一瞬あるが、それ以外には何かを話すシーンがない。曲の説明や進行は牧師がする。これは恐らく意図的なもので、彼女の人間的な部分をあえて見せないようにしている。彼女そのものが教会であり、それ以上の存在としてそこにいる。