つくりもののはて

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「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」を見た。

初日鑑賞。とくに欅坂に思い入れがあったわけではないのだけど、この間見た日向坂のドキュメンタリーの「表面」として存在していたはずの欅坂のドキュメンタリーがどんな話なのか興味がふくらんだのと、それほど詳しくなくても何となくわかる「平手友梨奈」という見るからにやっかいそうな素材がチームの中でどう存在していたのかそれを確認しにいってきた。明るい話ではないだろうなとは思っていたけど、想像以上に、いや想像していなかったほど、何を見せられているのか分からなくなる映画だった。絶対的センターである平手友梨奈がいて、初めて成立するグループということで、他のグループとは明らかに違う顔を持ったグループ。その中心的存在への負担が大きすぎて、彼女が壊れていき、それとともにチームが崩れていく、そういう物語だった。ミュージックビデオの撮影をすっぽかす、全国ツアーを突然欠席する。そんなもろくて不安定なセンターに誰も不平も不満もこぼさない。彼女がいないと成立しないからだ。一番異様だったのは、平手がツアーの途中で1曲だけ復帰するという形で戻ってくるところだ。参加は一曲だけなのだけど、歌いもせず、メンバーが踊る後ろをただうつろに歩くだけというパフォーマンスをする。まるで幽霊のようだ。どんな大御所アーティストだ!って思うのだけど、彼女がうつろに歩くことでパフォーマンスが完成するという。いるだけで異彩を放つ存在。そうなるまで自分を追いつめていった結果、得たものと失ったもの。これ、アイドルのドキュメンタリーですよね?っていう、なんとも壮絶な映画でした。