かたらいたくなる

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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」を見た。

東大安田講堂事件の数ヶ月後、東大の教室にてこんな討論会があったなんて、この映画で初めて知った。左翼VS右翼、過激な学生軍団と肉体派にしてスパースターの文豪。何ともスリリングで面白そうな題材じゃないか。教室の前の張り紙には三島をゴリラに見立てて揶揄するポスターが貼られ、始まる前からバチバチと火花が散っている。そして討論が始まるのだが、これが想像していたようなものとは違ってはいた。だけどむしろそれがよかったように思えた作品だった。何とも優しい内容だった。学生たちの頭でっかちにも思える問いに対して、三島がものすごく誠意を込めて、ありきたりの言葉ではなく、実感を込めて同じ土俵で語り合おうとしている姿に、何とも言えない優しさを感じて思わずうるっときた。世代を超えて、敬意と誠意を持って語り合う、何とも美しい話ではないか。ただそれも三島によるパフォーマンスの一環でもあるようにも思えるのだけど、実に面白いドキュメンタリーでした。なにより、こんなフィルムが残っていたことに驚いた。