「新喜劇王」を見た。
信じられないくらい泣いた。号泣したとか、そんな言葉で片付けられるような泣き方じゃなかった。もう震えて、座席が揺れて、たぶん声も漏れていた。劇場に他に誰もいなかったら叫んでた。とにかく、ばかばかしくて、ナンセンスで、しょうもない映画なのに、なんでおれこんなに泣いてんだ。でも、こんなにストレートに、まっすぐに、たったひとつのことを言ってくる映画、そんなにないですよ。「あきらめんな」その一言です。ラジオ的に言えば「前田日明あきらめんじゃねえ」（byニッポン放送）くらいのド直球さ。ちがうか。とにかく、そのまっすぐさが涙腺を刺激しまくるわけです。やりたいことがあるなら、うまくいかなくても、人より劣ってると思っても、ばかにされても、「あきらめるな、やり続けろ」って、そういう映画です。いつか、自分自身も、いまの自分を見て笑える日が来る。来ないかもしれない。うまくいくかどうかなんてわかんない。チャンスなんて頼りないものにすがるな。とにかく、あきらめんな、続けろ！それしかないんだよって映画でした。信じられないくらい良かったです。40代になって「コンフィデンスマンJP」（2018年）でブレイクした俳優の小手伸也。「ごくせん」（2002年）の11話にちょい役で出てたのが最近話題になったりして、それから15年以上も地道に役者を続けて大役をつかんだのだなと思うと、これは絵空事でも何でもなくてリアルな話だ。この映画の主演女優もこれまで無名だった女優で、この映画自体がテーマを体現している。もちろん、みんながチャンスをつかめるわけではない。だから夢は、ある意味「呪い」でもあるけど、それでも道は続けた先にしかない。もう何言ってるかわからないけど、とにかくこの映画、大大大大傑作です。最高すぎて死ぬかと思った。チャウ・シンチーらしいナンセンスに溢れた映画だけど、こんな時だからこそとにかく見て欲しい映画です。
