「アドリフト 41日間の漂流」を見た。
この映画、副題があってくれて本当に良かったと思う。アドリフトってだけだとたぶん数ヶ月経ったときに何の映画だっけ?って分からなくなりそう。そのくらいこのタイトルの印象が薄い。いや、原題だし、漂流って意味だから別に間違えてはいなんだけど、見終わっても、ちっともアドリフトって単語が頭に入ってこない。「41デイズ」の方がまだしっくりくる。ま、自分の頭が悪いだけなのだけどね、でも、これは少し考えた方がよかった気がする。ってのも、この映画、すごく良かったんですよ。よくできてた。漂流ものって一定の面白さが保証されてる気もするけど、やはり舞台が固定される分、それを面白く見せる工夫は必要で、ロバートレッド・フォード主演の「オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜」なんかは、海の上で1人きりでの漂流だから一切セリフがなくて、たったひと言叫ぶその叫びに「ああ!」ってなる演出が良かったし、アンジェリーナ・ジョリー監督の「不屈の男 アンブロークン」は47日間の漂流でのサメの襲撃が超怖かったし(本作はサメがどうなるかハラハラでした…サメ、きらい怖い)、「ライフ・オブ・パイ〜トラと漂流した227日」なんかは、トラと漂流??ってところからラストに呆然としてしまう作りが見事だったし。で、本作なんですが、漂流ものなんだけど恋愛映画です。南国で出会った2人が恋に落ちて、ヨットで旅する途中に漂流してしまうという。船旅の経験の長い男の方が大けがをしていて、ほとんど初心者に近い女性が1人で困難に立ち向かうという。物語は漂流したところから始まって、同時に2人が出会う過去と、2つの時間軸が同時進行していく。一方は漂流生活の終わりに向かい、一方は漂流するにいたる事故に向かっていき、クライマックスが同時に訪れる。もうこれ以上は言えないです。こういういわゆるジャンル映画も色々な作品の影響を受けながら、しっかり進化してるなと思いました。ちなみに本作は実話だそうです。最近の「実話です」って、超とんでもないミラクルで奇跡的な結末だけど「実話ですから!」みたいな免罪符の側面もあって、いい加減どうかと思うのだけど、本作は大丈夫です。無人島で漂流した男が、死体と友達になって、死体が放つオナラの風圧で海を渡って生還するなんていう信じられない映画もありましたが(これが実話だったら死ぬ)、とにかく漂流ものは面白いです。