「残された者 北の極地」を見た。
久々にガツンとくる一作でした。雪山に一人取り残された男。説明も何もない。回想シーンもない。ただ、だだっ広い雪山にポツンと男が一人。なぜ男がここにいるのか、この男は何者なのかは分からない。ただ飛行機事故で生き残ったのだということだけがわかる。腕時計のアラームの音だけをたよりに淡々と1日のルーティンを繰り返す。地面に大きく「SOS」の文字を書き、手動で電気を起こして救難信号を発信して、氷の下に垂らした釣り竿にかかった魚を確認し、大破した飛行機の機体の中に帰って食をとり、眠る。規則正しく生きる、これ重要ね。これをどれだけ繰り返したのか、途方もない孤独の中で生きている。これが無性に面白い。90分くらいの映画だけど、淡々としているように見えて常に何か新しいことが起きる。まずは状況の説明のうまさ。毎朝石を磨いて積む作業をしているのだけど、それが何かということは中盤で明らかになる。セリフもないけど、とにかく描写に無駄がない。保管していた食糧を熊に食われたことがわかった後、自分以外何もいないと思っていたところに自分の生命を脅かす存在が近くに存在することを知った時の何とも言えない恐怖。中盤で孤独な戦いは終わり、果てしない旅路が始まるのだけど、そこからも苦難の連続で、超静かで淡々としてるのにジェットコースターみたいな映画だった。人は何のために生きるのか。全てを諦めかけたときの「ハロー」のひとことの強烈さとか、いやー、面白い映画見ました。これはすごかったです。