「ブルーピリオド」を見た。
自分の「好き」を見つけた人が脇目も振らずそのことに没入する。その姿を見ることが好きだ。そういう人を描いた作品にやられる。高校の時も、大学の時も、そんなもの見つけられなかった。だからうらやましさがある。早くにそれにめぐり逢ったそんな人は幸運だし、それにひたむきに打ち込む姿はなんとも尊い。で、今の自分はどうかというと、それに近いものを持っている。「好き」なのかはわからないが、ひたむきに打ち込んでいる。デザインの仕事はそうやって20年以上、ひたむきに考え続けているし、数年前から書くこともそれに近いくらい打ち込んでいる。ひたすらやるのは自分には才能がないからだ。才能がないから、才能がある人の倍はやらないとダメだと思ってるし、やっぱりやった分しか人はうまくならない。20年やり続けても、まだまだぜんぜん未熟なままだから、まだあと10年も20年もあがきつづけるしかない。デザインにしたった文章にしたって「おれより上手いやつなんかいくらでもいる」。当たり前のようにいる。でも自分にしかできないものをやる。努力なんかして当たり前。むしろ努力でどうにかできるならいくらでも努力なんかする。見ながらそんな当たり前をのことをかみしめて、やっぱりいつものように土曜の朝5時からデスクに向かう。何年やり続けようが、無力でどうしようもない自分を一歩でも前に進ませる。