きえゆくふうけい

「燈火(ネオン)は消えず 」を見た。

しみじみと染みる映画だった。香港には行ったことがない。学生時代、友人の影響で香港映画が好きになって、それからずっと行きたい、いつか行きたいと思っていたけど、ついぞいかないまま30年以上経ってしまった。香港といえばネオンの街というイメージだ。夜のネオン街。いつかあそこを歩く日が来るんだろうなと、思っていた。でも、もうそれは叶わないらしい。ネオン街。もうないらしい。もう何年も前にネオンが禁止になって、明かりは灯ってないという。そんな現代の香港でネオン職人だった夫を亡くした妻の映画。突然いなくなった愛する夫。その夫が生涯をかけてやってきた仕事も消えかけている。なんて哀しいテーマだ。もうこの設定だけでぐっとくる。そんな消えゆくものへの映画。ネオンがテーマではあるけど、そこには香港映画の現在が重ねられているようにも、もっと広く香港そのものの現在を重ねて描いているようにも思える。喪失についての話ではあるけど、ただ哀しいだけでも、懐かしむだけでもない、そこにすごく優しい視線があって、切ないけど、希望を持って帰れる、そんな映画だった。よかった。染みる映画だった。www.youtube.com