「罪と悪」を見た。
月３くらい見たいタイプの映画だった。田舎の閉塞感のある町。中２から物語が始まる。幼なじみのサッカー少年たち。ある日その友情が終わる事件が起きる。離ればなれになって20年、その町で幼なじみたちが再会する。ひとりは裏の仕事を。ひとりは刑事に。一人は過去を引きずったまま家業を手伝っている。彼らが再び出会うことで20年前の時間が再び動き出す。もうこのプロットにしびれる。こういうのをもっと見たい。月に３本くらい見たい。大好物。過去に重いものを背負った男たち、取り巻く悪い人たちがしっかり怖い、そして警察も全くグレーで、表面上は平和そうな田舎町がけっこうな地獄で、善人が一人もいない感じ。そしてとにかく高良健吾が良い。めちゃくちゃ良い。贅肉がまったくなくてシュッとした感じで、ものすごく人が良さそうな感じと、メチャクチャ怖い感じと、すごく狡猾で頭よさそうで、しっかりキモが座っていて、何事にも動じない感じ。なに？このたたずまい、完璧すぎる。総じて役者陣がみなよい。とても良い。いるだけで、どんな人かわかる。一瞬しか出てこない佐藤浩市とか、きちんとすごみを感じさせる。フード描写もとても良い。食べているものや食べ方にきちんと人が出る。無駄なものがない。世界にものすごい厚みがある。ドラマ的な幕引きは、もっとこの先を見せて欲しい気もしたけど、この先に待つのは絶望しかない気もして…見ない方がいいのかもしれない。前知識ゼロでタイトルだけで見たけど、とにかくこれは思わぬ拾いものだった。よき出会いだった。
