だれだだれなんだ

「市子」を見た。

世界が反転する映画だった。こりゃすごい!めちゃすごい!!最初見た同じシーンが最後に反転している!同じものを見ているはずなのに、同じシーンを見ているのに、その表情も歩く姿もセリフも同じはずなのに、全く違うものに見える。すごい映画だった。映画は真相のようなものを描かない。あくまでも映画の中に出てくる人がどう見たかどう感じたか、主観による事実しか描かれない。見るものの解釈に任せる映画だ。だから見終わったあと見る人によって見えていたものが違っているのかもしれない。わたしはこう見たということが、別の人と共有できない可能性もある。パンフレットを見ると映画では描かれなかった事実が事細かに書かれていた。これを知ってみると、おそらくまた映画の見方が変わる。そうか、あそこで言ったあのことは、これのことだったのかとわかる。そこには事実がしっかり存在している。でも映画はわかりやすくそれを描かない。私たちは常に、そこにいる人の真実を知らない。本人から、もしくは誰かから聞いた情報でその人を知っていく。実は本当は誰だかわかっていない。それを体感する映画だ。とんでもない映画だ。

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