だんちえいがっす

「同じ下着を着るふたりの女」を見た。

韓国の団地映画。そして家族という名の地獄映画。強烈!その一言につきる。この母ちゃんのとんでもないキャラクター性。大人に、母になれなかった一人の女として、ものすごく冷静な視点で、しかし痛々しくこの何ともつかない母の存在を描き出す。とんでもない人ではあるけど単なる毒親としては描いてない。見事なのはスタイリング。母が着ているもので、この人の人間性を見た目で理解させる。デートにでかけるときの服、リビングでフィットネスしている服、ダボダボの若者っぽいファッションとか、じつに自然にこの人の人間性を出してるし、終盤は衣装で「ぎゃーーっ」ていう展開もあって、これはタイトルにもあるとおり身につけているもので多くを語る映画でもある。冒頭とラストは下着を使って物語の行方を決定づけていてお見事でした。クライマックス、真っ暗な部屋の暗闇でシワなどのディテールがすべて取っ払われた母が同じ年代にも見える娘と対峙するシーンは、意図的な作りを超えてもはやホラーになっていて、見事な地獄がそこにありました。近所の映画館での上映最終日に滑り込みで見たのだけど、これは劇場で見ておいて良かった。また団地映画の傑作を見てしまった。

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