さんじゅうなな!

f:id:Shimpachi:20200209080703j:plain

「37セカンズ」を見た。

障害者についての映画でテーマは性と生。重そう…なのだけど、全然そんな映画じゃない。ポップでキュートな明るい冒険映画だ。それで障害者を描いた映画の主人公を障害を持った人が演じる。この一点において、もうこの映画は革命的である。のっけから完全にやられる。自分では入浴すら一人でできないという日常描写なのだけど、ここでの家の造形、母との何気ない会話のやりとり、家に置かれた人形、説明を省いて一気に生き苦しい状況を見せる演出的うまさ、そして何より主演の佳山明の存在の圧倒的説得力。これで一気に引きこまれてしまう。この映画は彼女の存在が全てと言っていいのだが、暗く描がきがちな世界を、軽快に明るく描いている世界感も見事だ。作品が進むにつれて彼女の表情が変わっていって、最後には愛らしくてしかたなくなる。それを引き出して映像におさめているすごさ。これこそまさに映画の力だ。