ひっちこっくっす

ヒッチコックの映画術』を見た。

子どもの頃の楽しみ。日曜洋画劇場でときどき放送されるヒッチコック映画。大好きだった。映画というものの根元的な面白さを知ったのはヒッチコック作品だった気がする。初めて見たのは「裏窓」だった。小学4年くらいの頃だった。なんだこれは?!と思った。主人公は骨折して車椅子。舞台が固定されて動かないのにハラハラするような展開が次々起こる。舞台が変わらないのになんでこんなに面白いんだ。こんなもの初めて見たという感動だった。それから日曜洋画劇場でヒチコック作品がかかるとお祭りのような気分になった。映画館で見た映画は少ないけど、リバイバルや午前10時の映画祭でかかったっものはあしげく通った。大人になって改めてその作りの巧妙さに驚いた。子どもの時に見ていたはずの「レベッカ」や「めまい」は改めて見たら「今まで何を見ていたのか」と思うほどレイヤーの厚い映画だった。ま、しかしそんな小難しいことはまったく抜きにして子どもが純粋に楽しい、怖いと思える映画に仕上がっていることが何よりもすごい。そんなヒッチコックのドキュメンタリー。映画を改めて解体し、その手法を自分語りする。基本的に映画は嘘だ。映画の冒頭で「わたしは一つ嘘をつく」と言う。この映画の最大の嘘は何かという仕掛けがなかなか気が利いている。扉を開けて中に入る。その扉は閉まらない。映画表現の豊かさと奥深さに満たされるすてきな時間だった。

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