あいですくえない

「The Son/息子」を見た。

家族というの名の地獄についての映画だった。つながりが断ちきれない存在。愛があるから、愛ゆえにどうしようもなくなる。監督の前作「ファーザー」は自己を失っていく映画だったけど、「息子」は自分の中に育った飼い慣らすことのできない得体のしれない怪物についての映画だった。どちらもホラーだ。洗濯室で不穏な音を立てながら回り続ける乾燥機。その後ろにあるものの存在を観客は知っている。その時限爆弾がいつ発動するのか…ずっと最悪を想像させてくる。ゆっくりじわじわと。エリートの家系。自分と母親を裏切った父のような存在にはなりたくないと強く願った男が、理想の父親になろうともがきながらも、自らが最も嫌った父と同じ、いやそれよりも最悪な父親になっているかもしれないという葛藤。つぐないとして精一杯の愛を注ごうとする先に待ち受けるもの。愛だけでは救うことはできないと、前に夜回り先生が繰り返し言っていたのが響いてきた。

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