かいぶつごうまん

「零落」を見た。

えぐってくる映画だった。心の奥にある一番見たくない部分をえぐってくるような、最高に恐ろしくてイヤな映画だった。創造する人の心の闇。手塚治虫の「ばるぼら」にも似た作家が謎めいたミューズを追い求める話のようであって、本当はどうしようもない虚無を埋めようとする話で、手に負えない虚無が爆発していく様をじわじわと描いていく。この主人公の正体とも言えるものは、かつての恋人によって一言で語られるのだけど、真の姿が表出してくるラストの気持ち悪いこと。そうやって闇の中で生み出された作家本人にとてっは醜悪の塊のような作品が、他の誰かの心を癒やして救ったりもするする、というなんとも皮肉な構造だ。主人公の深沢という名前は、原作の浅野いにおの名前の映し鏡なんだろうな。自身の心のうちなのかと思うとさらにじわじわとえぐられる。えぐられるというか、憎たらしさで言えば、主人公のマンガ家のアシスタントの女子がすごかった…。もう全シーン、出てくるだけでひねり殺してやりたくなるくらいムカつく。すがすがしいくらいムカつく。最近見たあらゆる作品の中の憎たらしいキャラクターランキングでぶっちぎりトップだ。翌日の夢見が最悪だった。大好物です、こういう映画。とにかく、最悪!でも大好き!!っていう映画でした。

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