「ライトハウス」を見た。
とんでもないものを見てしまた。孤島の灯台守の映画。画面はモノクロ。出てくるのはおっさん2人。ひとりはベテランの老灯台守でひとりは新人の若造。出てくるのは基本この2人だけ。でも見ているうちにこいつらがじつは何者なのかわからなくなる。いや、というよりもこの孤島の存在そのものが何なのか、世界と人間とがわからなくなる。まるで悪夢を見ているような映画だった。そして終始鳴り響くサイレンの音。ブーン、ブーンって不気味に繰り返される。そう聞くとなんとも怖そうな映画なのだけど、いや実際怖い映画なんだけど、不気味さの中にユーモアや人間くささもある、奇妙なバランスの映画でもあった。まず最初に印象に残るのが永遠に続く放尿の音だ。2人が共同で寝泊まりする居室の真ん中でパイセン灯台守が皿に放尿する音がじょーーーーーーって永遠に終わらない。尿も便もそこですんの?って衝撃。じょーーって音が終わるとブーンってサイレンが響いて、それについでブボッっておならが鳴り響きわたる。まるでコントだ。老人の粗雑な人間性を際立たせる演出ではあるけど、この映画でずっと繰り返されるのは、食って、飲んで、出すってことだ。ずっと食って飲んで出してのサイクルを繰り返しながら、過去への罪悪感に悩まされ、他者への疑心を強め、独占欲と強欲さに取り憑かれていく。極限の状況下で浮かび上がる人間性の根幹のような話だ。あ、別に難しい映画じゃないですよ。尿に便にゲロに美人の人魚に目から光線を出す神様に巨大なタコに、なんだかすごいものもたくさん出てきます。ある意味でエンタメ映画です。完全に狂ってますけど。