あたしさいせい3

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「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を見た。

な、な、なんじゃこりゃ。どえらいことになってた。これはなんだ?ひと言でいえば「狂ってる」そんな映画だった。少女たちが立ち並んだポスターに「初見でもわかります」って吹き出しがついていて、一見誰が見ても楽しめそうなエンタメ作品の面構えをしている。ところが、なんだこれは。アヴァンギャルドでぶっ飛んだ、とんでもない実験映画じゃないか。突然はじまる列車上での殺戮、スプリンクラーから飛び散る血しぶき、自分の死体を見つめる少女たち、突然はじまるデコトラ対決に大仏のいる高級バー、書き割りのネコがパパラッチ的に襲ってくるサイコホラー的展開からの突然のスポーツ対決、砂漠で真っ二つに折れて突き刺さる東京タワー…。これらが少女達の歌に乗って次々に繰り広げられていく。5歳の頃にかわした親友との約束の物語という大筋はあるが、それを純粋に追うつくりにはなっていない。これはまるで物語の喪失だ。例えるならジャクソン・ポロックの「ナンバー1A」だ。絵が必ずしも何かを描いているわけではないというアレに近い。その意味ではこれは紛れもなく純粋なアニメーションだ。とにかくはちゃめちゃにおかしい。そしてそこにないものを頭が補完していく。「見ない、聞かない、調べない」主人公が繰り返すこの台詞が効いてくる。ないことを意識することでそれは強く心に刻まれていく。「初見でもわかります」という宣伝コピーはある意味正しい。初見だろうが、そうでなかろうが、扉はある意味平等に開かれている。

 

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