やぎはさまよう

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「旅のおわり世界のはじまり」を見た。

なんというか、まるで自分を見ている気分になった。ここまで極端ではないけど、海外に行ったとき、誰とも話さずにただ一人で町をさまよい歩いて、買いたいものがなかなか見つからず、どうでもいいものを買ってしまったり、どうしてこんなところ来ちゃったんだろうってくらい変なところに出てしまって、怖くなって足早に逃げたり、劇中の前田敦子の不安げで危なっかしい行動が、まるで自分のそれを誇張している感じに見てえ、居心地が悪かった。そしてそれは、他者を信用をしてなくて、世界を拒絶してるってことの表れなんだということを突きつけられて、胃のあたりが痛くなった。そんなイヤな感覚になるほどにすごくよくできた映画だった。異国を彷徨う迷宮映画としても、前田敦子といううつろな存在の記録としても、はたまた世界の終わりとその先の希望を感じさせる寓話としても、見事な作品でした。大傑作だと思います。