きゅうじゅうさん

「野獣の血」を見た。

韓国、裏社会もの。舞台は90年代の釜山。もうこんなの面白いに決まってるヤツじゃん。いやーいいですね。チンピラたちが争って、いつの間にか大きな抗争が始まっていて、上手に立派に激しく立ち回っていたつもりが、手の上で踊らされてたみたいな、結局、悪のシステムの話になっていく不条理さ。冒頭のシーンから過去に遡る形で物語が進んでいくけど、クライマックスで最初のシーンに戻って、もう一度冒頭のやりとりが繰り返されると、なるほど全然見え方が変わっているのがいい。ちょっと中盤だれるんだけど、むしろそのおかげでクライマックスが盛り上がるので、結局オールオーケーなバイオレンス映画でした。ムショ上がりの純真不良少年アミくんがあまりにかわいそうだったけど。

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きたのおとこたち

「ノースマン 導かれし復讐者」を見た。

はいきた!最高の一本が来ちゃいました。野蛮で残酷で絶対に身を置きたくないリアルなヴァイキングの世界観にたっぷり浸る2時間10分。ああ、幸せ。なんたる至福。最高の贅沢です。ヴァイキングの世界、もちろん本物は見たことないですが、こうなんだろうなっていうそう雑な世界がしっかり描かれている。静かに川を移動する船の描写で、もうズキュンと胸をつかまれました。その後ワンカットでウクライナの村を強襲する虐殺戦闘シーンのとてつもない残酷さ。村を制圧したあと、「おい、お前らそこの小屋に入れ」ってどんどん人を小屋に入れて…、ぎゃーーっていう。ああ、地獄。とにかく全編容赦ない。それでいて現実の中に神話的なものが普通に溶け込んでいたりして、ヴァイキングにとってのリアルな世界がそこにある。物語自体は、叔父に殺された父のを討つ王子の話で、これがハムレットの元になった話だという。なるほど主人公の名前、アムレートはハムレットだ。シェイクスピアの時代からリメイクはあったのだな。その物語をまた新に再解釈した超ダークなヴァイキング映画。そして超豪華キャスト!監督はロバート・エガース!「ウィッチ」も「ライトハウス」も全部劇場で見てる!「ライトハウス」はカモメ(実はハリウッド映画でおなじみの有名なカモメらしい)が印象的だったけど、本作はカラスだ。海風に逆らってゆっくり飛ぶ冒頭のカラスがとってもかっちょいい。このカラスも有名なカラスだったりするのだろうか?(ってかCGか?)とにかく最高の映画だった。ここ数日先方の都合で仕事の予定が狂いまくってずっとイライラしてたんだけど、もう全部どうでもよくるほどよかった。おかげで今朝も気分よく4時に起きて仕事できた。映画に救われるなやっぱり。

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なにをみせないか

「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」を見た。

この映画、何を見せて、何を見せないか、そのことでより深くテーマを浮き彫りにする映画だと思った。権力のある者が何十年にもわたって繰り返し続けた性的暴行の数々。どれほど恐ろしいことが行われたか。それは想像に委ねられる。決して見世物としては作られていない。事件を追う新聞記者2人が幼い子の母親であるというのも印象的だった。頻繁に家庭の様子が描かれる。巨悪を暴く新聞記者の話でありながら、ヒロイックな世界をこの映画は描いていない。力なき者を黙らせ、隠蔽するシステムの醜悪さ、仕方ないことと片付けていたことをひっくり返した小さな声。つい数年前の話を全部実名で映画化する。素晴らしい映画だと思った。

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だいだんちえいが

「ファミリア」を見た。

名越啓介の写真集「Familia 保見団地」で、エネルギッシュで強烈なインパクトを見せたあの団地が舞台で、ブラジル人たちの話でタイトルが「ファミリア」って、原作はあの写真集?って思ったんですが、全然関係ないのかな。喪失についての話でした。あと思ったよりしっかりしたヤクザ(半グレ)もので、けっこうハードな話でした。MIYABI演じる半グレリーダーが最悪なんだけど、そんな彼にも同情すべきところが一応あったりして、ちょっと複雑な気分になります。けっこう重い話でした。にしても保見団地です。写真集で見たあの団地!って盛り上がった。冒頭、ワンショットで団地の屋上からカメラが降りていって、水商売勤めが終わって帰ってきた女性たちと、肉体労働に向かう男性たちに迫っていくショットとか、画的にいいシーンが多い映画でもありました。良い団地映画でした。

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おもしろくなって

「そして僕は途方に暮れる」を見た。

とにかく、逃げる。その場だけとりつくろって、問題を先送りして逃げ出す、逃げて逃げて、どこまで逃げるのか…そういうコメディなんだけど、これ自分じゃんって思えて胸が苦しくなった。こういう部分は自分にも少なからずある。逃げないように、逃げないように、していても、じつは大切な問題から逃げているんじゃないかって、いつもそんな脅迫観念がついてまわってる。その先に待ってる未来を示してくるなれの果ての姿が、トヨエツなんだけど、こんなトヨエツになれるなら逃げ続けるのもありだな。「逃げて、逃げて、逃げ続けろ。そしてもうこれ以上ダメだって思ったらこう言うんだ。いよいよ面白くなってきやがった」これ最高の考え方ね。人生の帳尻は誰かが合わせてくれる、そういう生き方もありだな。あと最高なのは、後輩役の野村周平ですね。空気が読めないナチュラルボーンな鈍感くん、こういうヤツいそう!!これが実は最強の生き方なんじゃないかと思います。よし、逃げよう!!

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びーふじゃーきー

「恋のいばら」を見た。
とんでもないスピードで新作を送り出してくる城定秀夫監督最新作。ついこの間「夜、鳥たちが啼く」を見たばかりだ。今回もまた全然違う所に連れ行かれる映画だった。リベンジポルノをめぐるちょっとドロドロした復讐ものかと思ったら、愉快で楽しい友情映画だった。楽しくて、ほっこり良い気分になる良いバランス!けど、ちょっとイケメンカメラマンがかわいそうになりました。ワンシーンだけしか出てないけど中島歩の破壊力もすごかった。レストランでの会計をめぐるサイテーでサイコーなやりとり。こういうどうでも良いシーンにきちんと常連が出てくる安定感。楽しい映画でした。途中で出てくるビーフジャーキーを配ってるゾンビ映画のタイトルを失念してしまった。共食島だっけ…?すぐメモ取らないとダメね。あと玉城ティナ、ダンスめちゃうまいのね。

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