なにをみせないか

「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」を見た。

この映画、何を見せて、何を見せないか、そのことでより深くテーマを浮き彫りにする映画だと思った。権力のある者が何十年にもわたって繰り返し続けた性的暴行の数々。どれほど恐ろしいことが行われたか。それは想像に委ねられる。決して見世物としては作られていない。事件を追う新聞記者2人が幼い子の母親であるというのも印象的だった。頻繁に家庭の様子が描かれる。巨悪を暴く新聞記者の話でありながら、ヒロイックな世界をこの映画は描いていない。力なき者を黙らせ、隠蔽するシステムの醜悪さ、仕方ないことと片付けていたことをひっくり返した小さな声。つい数年前の話を全部実名で映画化する。素晴らしい映画だと思った。

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