いきにくすぎです

「碁盤斬り」を見た。

こりゃ生きにくいよな…って映画でした。ある意味でコメディと思ったら基は落語なんですよね。清廉潔白に生きようとする男の話。誠実さは美徳ではある。しかしそれだけで生きていくことの何とも言えぬ息苦しさ…。いや、ほんとにこんなに真っ直ぐだと生きてくの大変よ。曲がったことがあると許せない。それで人を救う側面と、それで人を追い込む側面とどちらもある。白と黒で勝負をつける碁をテーマにしてるのが実に面白い。正義感の塊である当の本人はというと…。金を盗んだという濡れ衣を着せられて取る行動が、汚名を晴らすより先に腹を斬ると、そんな目で見られてまで生きていけないと、もうほとんど狂気だ。そんな男がどうこの問題と、もっと大きな自分の問題に決着をつけるのか。もとは落語の人情噺だということで、すみません、そっちは全然明るくないんですが、囲碁の勝負の面白さに、人情劇に、復讐劇、ロードムービー的側面に、タイムリミットサスペンスで盛り上がって、時代劇的見せ場もしっかりあって、めちゃくちゃ面白い映画でした。何より画の雰囲気が最高。暗くて、じめっとしてて、汚くて、江戸時代の風景のリアリティがすごくいい。そして何より草彅剛力のすごさ。やっぱこの人役者としての力がすごすぎる。なんだろうこの迫力は。気がつけば善人しかいないのは人情噺だからだろうけど、この画面の暗さの中にあって、いいバランスと思いました。

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