「To Leslie トゥ・レスリー」を見た。
すごいものを見た。宝くじに当たったことで人生の全てを失ってしまったシングルマザーの末路。お金は酒に使い果たし、そのままアルコールに溺れ、モーテルで暮らし、家賃が払えず追い出され、息子に助けを求めるが、息子の友人の金にまで手を出し酒を飲み、本当に行き場を失ってしまう。こんなはずじゃなかった人生。身に余る幸運を手にしたことで、身を滅ぼす。それを演じる主演女優アンドレア・ライズボローの圧倒的演技。どんどん行き場を失っていく姿に、「ああ、もう、それだけは、それだけはやめてくれ！」と心の中で思わず叫んでしまう。あまりの愚行に席でもだえまくった。中盤でそんな彼女に救いの手が差しのべられるのだけど、その後も「頼む、その酒は、その酒だけは飲むな！」とやはり心の中で叫びだして席で悶え続けた。とにかく感情を本気で揺さぶってくる。何が起きるかわからない怖さ。まるでジョンカサヴェテスの映画みたいな気まずさ。とにかく、これは、すごいものを見た。
