しん・しはいしゃ

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」を見た。

先行オールナイトで見に行った最初の映画からもう30年が経つのですね。あのとき、ただ立ち上がるだけで震えるほど感動して涙をボロボロ流させたブラキオサウルスは、もはや映画の中では見慣れた存在になっていて、工事現場に居座って邪魔だなーくらいの存在になっていて、どいてくださーいって誘導させられていたりする。恐竜が異物ながらも日常の中に溶け込みつつある世界。それが本作の世界観。見ている観客の感覚もそれに近いところがあって、もうブラキオサウルスが立ち上がって動いていても最初に見たときのような感動はない。この30年の映像技術の進歩でスクリーンの中にいる恐竜が動いているなんてもはや当たり前。そこに何の驚きもなくなった。より過激に、より派手に。観客が求めるのはそれだ。そうやってこの30年で更に進化したハリウッド映画。この映画はそうやって進化してきたハリウッドの娯楽大作映画の進化をなぞるような映画になっている。007ばりのバイクチェイスあり、飛行機墜落の脱出劇あり、モンハン的雪山でのバトルもあれば、インディジョーズンズのような洞窟探索も、最強対最強の怪獣バトルまである(しかも2回も)。ただ「動く」ということに感動した最初の衝動から、次なる欲求を満足させるために拡大していった娯楽映画の止めどない進化。まるで映画という生物の進化史を体系化したような映画だった。過剰に盛りだくさんに詰め込まれた現代娯楽映画の王道的展開の数々、そしてこれでもかってくらいのファンサービス。手を尽くしすぎている。それが果たして映画を面白くするか、そういう問いかけのような映画であった。

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