ろくじかんでした

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水俣曼荼羅」を見た。

ようやく見れた。なにせ上映時間6時間超え。まる1日かかる。なかなか時間がとれなかった。ようやく近所の映画館で上映が始まったので、このタイミングで!と思って、仕事を全部ほっぽり出していってきた。見にいってよかった!その一言に尽きる。大傑作!6時間(休憩入れて7時間)があっという間だった。こんなことがあるの?ってそういう感覚。水俣病についてのドキュメンタリーを6時間って、それだけ聞くと気が滅入りそうだけど、これがクソメチャに面白い。面白いなんて言っていいのかもよくわからないけど、面白く作っちゃってるんだもん、それは仕方ない。撮りようによってはいくらでもシリアスな映画になるだろう水俣病というものに焦点をあてつつ、シリアスな映画にはなっていない。決してふざけて撮ってるわけじゃない。いたってマジメな映画だ。けどおかしい。そして面白い。笑って、泣いて、怒って、不条理さに絶望し、考えさせられ、感情がずっとゆさぶられる。やはり原一男という人はすごい監督だ。そこにあるのは「問題」なんかじゃない「人」なんだ。ドキュメンタリーでありがら原監督はそこにドンドン踏み込んでいく。そしてそこにいる人間の個性をあぶりだしていく。それがとにかく面白いのだ。解剖実験のために借りた「脳」をユニクロの紙袋にくるんで普通に電車で持って移動する医師の姿だったり、ひたすら船にペンキを塗る作業の様子だったり、記者会見が終わって気が抜けたあと知り合いに挨拶をする姿だったり、無駄で捨てられそうな日常のおかしみの中にそれは表れていたりする。「初夜はどうだったんですか!?」「恋多き人生だったんですね!じゃ今まで好きなった男の人みんなに会いにいきましょう」って水俣病の取材に来て絶対だれも聞かないよ?って質問をひょうひょうとなげかけて、人間らしい部分を引き出していく。人間にぐっと迫っていきながら三幕目で最大の不条理をつきつけてくる。とにかく映画として構成がじつに見事だ。撮影・編集に20年、その集積の6時間の映画。でも水俣の問題は50年以上もつづいている。6時間は決して長くない。そして本当にあっという間の6時間だった。劇場で見ないとこの集中力は持続できないと思うので、とにかく無理矢理でも時間を作って、劇場でやっているうちに見るべき映画だと思う。

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